スタートレック・オークション騒動

(▲テッド・ムスタキス氏と、問題のバイザーを着用するブレント・スパイナー氏)
こんな夢を見た。
私が、あるニュースについて、スタートレックの登場人物たちと議論をしている。

(▲ クリスティーズの "40 Years of Star Trek"オークション・カタログ)
私:「気になるニュースが、年末に飛び込んできました。クリスティーズのスタートレック・オークション(2006年10月開催)で小道具3点を落札・購入した人物が、『ニセモノを買わされた』と、クリスティーズとパラマウントを告訴したのです。みなさんは、このニュースについて、どう思われますか?」
クワーク:「オークションのゴタゴタなら、オレに任せてくれ。こういう問題は、フェレンギの得意分野なんだ。ラチナムをはずんでくれるなら、オレが仲介役を引き受けてもいいぜ、グヘヘヘ。まあ、詳しい話を聞かせてもらおうか。」
私:「まずは、事実関係から。2007年12月28日付けの『ニューヨーク・デイリー・ニュース』誌(元記事はここ)と、『ニューヨーク・ポスト』誌(元記事はここ)によると、
この人物テッド・ムスタキス氏(46歳)は、熱心なスタートレック・ファンで、大好きなキャラクターであるデータ(TNG)が劇中で使用したポーカー用バイザー、ポーカーテーブル、ユニフォームを、それぞれ、6000ドル、6600ドル、11400ドルで落札した。ところが、その1年後、バイザーとテーブルはニセモノであるとして、ムスタキス氏は、代金の返還と懲罰的賠償金700万ドル(約8億円)を求め、マンハッタン上級裁判所に提訴した。」

(▲テッド・ムスタキス氏と落札品)
クワーク:「700万ドルとは、大きく出たな。気に入ったぜ!」
ベシア:「ちょっと待った。どうして“ニセモノ”だと分かったんだ? あのオークションでは、ほかでもないパラマウント自身がスタートレックの備品倉庫から出品したんだよ。しかも、クリスティーズは一流のオークション・ハウスだ。」
私:「ここからが、重要なポイントなんだ。ムスタキス氏は、そのポーカー・バイザーを持って、スタートレック・コンベンション(2007年ラスベガス)に参加した。そして、データ本人、すなわちブレント・スパイナー氏に会って、バイザーにサインをもらおうとした。ところが、スパイナー氏はバイザーを見ると、こう言った。
『それは私の(使用した)バイザーではない。あなたは、それをクリスティーズ・オークションで買ったそうだが、私のバイザーは私自身がすでに売却した。実は、クリスティーズには、出品されているバイザーがニセモノ(fake)だから売らないようにと警告したのだが・・・。』
ムスタキス氏は、この言葉に驚き、ほかの品物も調べた。すると、ポーカーテーブルも劇中に登場する物とは少し違うことがわかった。」
オブライエン:「やれやれ、笑っちゃいけないけど、やっぱり笑うしかないニュースだね。僕なら、やけ酒でも飲んで、あきらめるよ。そもそも、オークションって、自己責任の世界だろ? 品物の真贋を見分けて、その価値を自分で決めるのが入札なんだ。あとから訴えるのはルール違反じゃないかな? ニセモノが心配なら、最初から入札するなって、ことだよ!」
ガラック:「必ずしも、そうとは言えませんよ、チーフ・オブライエン。クリスティーズはオークションに出品された品物が本物であることを保証しているはずです。保証書も付いていることでしょう。」
私:「その通りだよ、ガラック。たとえばポーカー・バイザー(ロット番号633)は、オークションの目録に次のように書かれている。
『ワイヤーと2色性のプラスティックで出来たバイザー。データ役のブレント・スパイナーが新スタートレックのポーカーゲームのシーンで着用した。そのシーンには、"Descent part1"でデータがスティーヴン・ホーキング博士とポーカーをしたシーンや、TNGの最終回"All good things"がある。』
つまり、エピソード名も明記して、スパイナー氏が着用したと書いてある。これを読む限り、このポーカー・バイザーは、あのエピソードのあのシーンでデータがかぶっていた、あのバイザーだとクリスティーズが保証していることになるね。」
オドー:「なるほど。ニセモノであるという警告を受けながら、本物と表記して売り出した。つまり、“偽装表示”ということですね。2007年は、まさに“偽装表示”の年でした。2007年の最後を飾るにふさわしいニュースですな。」
ガラック:「もっとも、私に言わせれば、“本物”とは何かという問題ですよ。そもそも、ミスター・データのポーカー・バイザーが世界に1つしか存在しないとは限らないでしょう? 撮影用の小道具は予備も含めて複数が作られることがあります。目録に記載されている2つのエピソードで別々のバイザーが使用されたかもしれないし、1つのエピソードの中でも、複数のバイザーが使用されたかもしれませんよ。」
ジョーディ:「ったく、データは人騒がせだな。あいつが黙ってサインしてれば、こんな裁判沙汰にはならなかったはずだ。」
トロイ:「でも、データ自身が過去に“本物”のバイザーを売ったのでしょ? 彼の立場としては、自分は“本物”を売った → だから今回のはニセモノだ、と言うしかないんじゃないの? 彼は、妙に真面目なところがあるから。」
クワーク:「データの野郎は“本物”をいくらで売ったんだ? フェレンギ商人としては、そっちに興味があるな。」
私:「スパイナー氏はeBayオークションで売ったらしいよ。報道では、それ以上のことは分からないけど、たぶん、eBayのチャリティー・オークションに協力したんじゃないかな。彼が金に困って、身辺整理をしているとは考えにくいからね。それだけに、自分のプライドを守るためにも、黙っていられなかったのだろう。」
ベシア:「うーん・・・、ムスタキス氏の訴えが、よく分からないな。ニセモノか否かは別にして、クリスティーズに返品すれば、問題は解決だろ。代金が戻れば、それでいいじゃないか、常識的に考えて。」
ウォーフ:「代金の問題じゃない! 名誉の問題だ! ニセモノをつかまされたとなれば、一族の名誉にも影響する。戦ってこそ、真の勇者だ。」
セブン・オブ・ナイン:「早いものだ・・・、もう“初夢”の日がやって来たか・・・。このコーナーでは毎年同じような決めゼリフを述べて、ややマンネリの感があるが・・・、これを聞かないと年が明けた気がしない、という声もあるので、本年もこの言葉を使わせてもらおう・・・。
抵抗は無意味だ! クリスティーズとパラマウントに戦いを挑むとは、たった一人で、ボーグとドミニオンに戦争をしかけるようなものだ。ムスタキス氏に勝ち目は無い。」
スポック:「実に興味深いですね。このオークションの、パラマウント側の責任者は、たしか、マイケル・オクダ、デニス・オクダの両氏だったはず。真面目で有能なオクダ夫妻が、この問題に対して、どのような対応をとるのか、見ものです。」
私:「同感です。実は、2008年に発売予定の『TOSリマスター版HD-DVD/DVDボックス(第1シーズン)』の特典として、このクリスティーズ・オークションのドキュメンタリー(1時間30分もの長編!)が収録される予定です。(現在、アメリカで発売中の同ボックスには入っていませんから、ご注意を。)この特典映像を見ると、オクダ夫妻がスタートレック倉庫の中でオークションの準備をしている様子がよく分かります。彼らの献身的な努力によって、あのオークションは大成功に終わりました。それぞれの小道具の履歴に関して、オクダ夫妻以上の情報を持つ人はいないと思います。オクダ夫妻が詳しい説明をすれば、ムスタキス氏の怒り(?)も収まるのではないでしょうか。」
丹羽正之の初夢でした。
(※ この会話は初夢ですが、ニュースは事実です。)
(※※ TOSリマスター版のHD-DVD/DVDボックス日本版に関しては、発売日が確定すれば、レビュー記事を書きたいと思っています。)
(Posted 2008/01/01 00:00)
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