「スターレック読本」追記 【ST本】

スターレック歴史編(1から5までの概要を大公開!)

新発売の「スターレック 皇帝の侵略」DVD。
その解説書「スターレック読本」に、(紙幅の都合で)私が書ききれなかった内容を追記したい。(「読本」と合わせて、お読みください。)

“スターレック歴史編”
【本DVD(スターレック6=「スターレック 皇帝の侵略」)に至る、「スターレック1」から「スターレック5」までの全貌】

スターレックには歴史がある。サムリ・トルソネンは1992年からスターレック・シリーズを作ってきた。
新発売のDVDはスターレックの第6作(正確に表現すれば、第6作のアップグレード版)であり、それ以前に5本(+α)のスターレックが存在する。スターレックもスタートレックと同様に、長い歴史があるのだ。


※ 私は、「スターレック読本」の執筆のために、「スターレック1」から「スターレック5」までを徹底鑑賞し、(あまりのくだらなさと、トホホな映像と、フィンランド流のギャグに)大笑いしながら、サムリの非凡な才能に感心したのだった。

正直言って、DVD(スターレック6)と、それ以前の作品(スターレック1~5)では、あまりにもクオリティの差が大きいのだが、正統派のスターレック・ファンならば、過去のあらすじくらいは押さえておきたいところだ。


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■「スターレック1」(4分)1992年

製作: サムリ・トルソネン

スターレック1
▲タイトル

【あらすじ】
プリンゴン戦艦3隻がP艦隊の領域に侵入し、攻撃を始めた。
エクセッシブ号(ヤンネ・トルソネン)からの救難信号を受けたキックスタート号(サムリ・トルソネン)は救助に向かう。

地球近くの戦闘現場に到着したキックスタート号はプリンゴン戦艦を砲撃し、エクセッシブ号とともに逃げ去ろうとする。しかしプリンゴン戦艦は追ってきた。

キックスタート号とエクセッシブ号は協力してプリンゴン戦艦と戦い、最後に勝利する。

【解説】
2次元のテレビゲームのような対戦シーンに、セリフを加えただけの単純な作品。
人物の姿は出てこないが、映像にセリフを入れて臨場感を出しているのがスターレックらしい。特にミスター・ファコフ(アンティ・ケスキネン)のとぼけた口調は今につながる。

スターレック1
▲対戦シーン

なお、キックスタート号とエクセッシブ号のデザインは、映画版スタートレックの改装型エンタープライズ号とエクセルシオ号にならっている。


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■「スターレック2: The Old Shit」(9分)1994年

製作: サムリ・トルソネン
脚本: ルディ・アイリスト、サムリ・トルソネン

スターレック2
▲タイトル

【あらすじ】
キックスタート号のパーク船長(サムリ・トルソネン)に、P艦隊から命令が入った。プリンゴン領域へ行って敵を破壊しろ、というのだ。

すぐに急行したキックスタート号の前に3隻のプリンゴン戦艦が現れ、いきなり攻撃をしかけてきた。キックスタート号の被害は大きく、バッテリーの残量が底をつく。
パークは、ミスター・スポーク(ルディ・アイリスト)のアドバイスにしたがって、ミスター・ファコフ(ヤンネ・トルソネン)に発電機を回して充電するよう命じた。なんとか電力を回復して、反撃を始めるが、キックスタート号の砲撃が敵に当たらない。やみくもに撃ちまくったので、発射スイッチがオーバーヒートしてしまった。
「液体で冷やすべし」というスポークのアドバイスで、ファコフはバーラウンジへ向かう。その間、パークはプリンゴン人と交信して時間を稼ぐ。

ファコフはビールを持ち帰って、それでコンソールを冷やし、ようやく武器システムが回復した。キックスタート号は光子弾とレイザー砲でプリンゴン戦艦を攻撃するが、数で勝るプリンゴンの攻撃にデフレクターが消失。最後の手段として、パークは後部の牽引ビームで戦艦を引き寄せ、体当たりで敵を破壊した。

ぎりぎりの状態で勝利したキックスタート号だったが、基地へ帰還する途中で、反物質ガスが漏れて大爆発。シャトルで脱出したパークはファコフを叱りつけた。

【解説】
スターレック2は3次元のアニメーションになった。
ブリッジでの会話と宇宙での戦闘シーンが同時に進行する本格的なアニメである。

キックスタート号のデザインがスタートレック:オリジナル・シリーズ(TOS)の初代エンタープライズ号にならっているため、古い船(The Old Ship)という意味で副題が「The Old Shit」となった。

この作品で目立つのは、パーク、ファコフ、スポークの個性が確立し、まるでトリオ漫才のような楽しい会話劇になっていることだ。

スターレック2
▲キックスタート号

スターレック2
▲パーク

スターレック2
▲スポーク

なお、冒頭で艦隊からの作戦指令が入るが、『こちら、おなら艦隊(Pieru laivasto)』というP艦隊の「正式名称」が聞き取れる。
通信士官のプフーラがプリンゴン船を呼び出すと、なぜかセックスホットラインにつながってしまうというギャグもある。


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■「スターレック3: Wrath of the Romuclans」(31分)1995年

製作: サムリ・トルソネン
脚本: ルディ・アイリスト、サムリ・トルソネン

スターレック3
▲タイトル

【あらすじ】
キックスタート号は、P艦隊の命令で、ヴェガ星系のロミュクラン基地へ調査に向かった。
パーク船長(サムリ・トルソネン)、ミスター・スポーク(ルディ・アイリスト)、ミスター・ファコフ(ヤンネ・トルソネン)、赤シャツ隊員の4名はシャトルで上陸して基地に近づいた。そしてロミュクラン人の通信を傍受し、「明日の午後1時に、ロミュクランのウォー・ターキー船団がガンマ星域のP艦隊を攻撃する」という情報をつかんだ。そのとき、1隻のウォー・ターキーが空からパークたちを攻撃し、赤シャツ隊員は死亡した。

ウォー・ターキーに攻撃され、シャトルが放射能漏れとなりながらも、パークは何とかキックスタート号に戻った。すぐにP艦隊本部に連絡してロミュクランの計画を伝えるが、提督に自分で確認しろと言われてしまう。

翌日の午後1時15分。ガンマ星域のP艦隊宇宙ステーションに到着すると、そこには27隻のウォー・ターキーが集結していた。パークは提督に援軍を要請し、1対27の壮絶な戦いを始める。
必死で戦闘を続けるキックスタート号は、円盤部を切り離して敵をかく乱。やがてP艦隊の援軍が到着して、戦いは両船団の大空中戦となった。

円盤部を指揮していたファコフは戦死するが、最後はスポークのアイデアで、降伏すると見せかけて、放射能漏れのシャトルを敵の船内へ送り込み大爆発させて勝利した。

【解説】
パーク、ファコフ、スポークのアニメーションは前作と同じだが、キックスタート号はスタートレック:ネクスト・ジェネレーション(TNG)のエンタープライズD型にならっている。D型ならでは船体分離シーンが見ものだ。

スターレック3
▲キックスタート号

スターレック3
▲艦長見習いのハマー

スターレック3
▲提督

目にバイザーを付けた艦長見習いのハマー(ルディ・アイリスト)が新登場したり、赤シャツ隊員が犠牲になったり、ファコフが殉職したりとストーリーが複雑化している。3Dアニメーションが向上し、宇宙ステーションの周囲で展開される空中戦は見ごたえがある。


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■「スターレック4: The Kilpailu」(47分)1996年

製作: サムリ・トルソネン
脚本: ルディ・アイリスト、サムリ・トルソネン

スターレック4
▲タイトル

【あらすじ】
パーク(サムリ・トルソネン)はガンマ星域での功績によって提督に昇進した。
キックスタート2号は、ファコフの死とスポークのヴァルガー星への帰郷にともなって、新しいクルーを迎えた。アンドロイドのインフォ(アンティ・サタマ)と、プリンゴン人のドワーフ(ティモ・ウォレンソラ)である。

そして、パークに与えられた新しい任務は、オメガ星域の未知の異星人ザーコンとコンタクトして、P艦隊と友好関係を結ぶよう外交交渉をすることだ。プリンゴン人や、耳の大きいトゥレンキ人がその異星人との同盟を望んでいる。パークは、キックスタート2号ですぐにオメガ星域へ向かった。

ザーコンのステーションに到着すると、パークは代表として内部へ招かれた。するとそこにはプリンゴン人の代表と、トゥレンキ人に雇われた“ならず者”ハンス・デュオ(ヤリ・アホラ)がいた。

ザーコンは3者に課題を与えて競争させ、その結果で各種族の資質を判断すると言う。その課題とは聖なる言葉を見つけること。3者は謎の言葉を求めて、宇宙船での駆け引きを始めた。

その結果、パークは「TURHALA」という言葉を見つけ、イプシロン星域にその名前の惑星が存在することが分かった。その星に行き、インフォがシャトルで地表に降下して、ついにザーコンの笏(しゃく)を発見する。
この競争にパークが勝ったかに見えたが、かつて艦長見習いだったハマーが笏(しゃく)を奪って逃走。ハマーはハンス・デュオの仲間になっていたのだ。
ところが、ハマーは持っていた爆弾をキックスタート2号に仕掛けることを忘れていた。手元の爆弾が爆発して、ハマーとハンス・デュオは笏(しゃく)とともに粉々に吹き飛んでしまった。

【解説】
副題の「Kilpailu」はフィンランド語で「競争」を意味する。スターレック4では3Dアニメーションが一新されて、宇宙船の外観やキャラクターの外見がより本物っぽくなった。

ストーリーが複雑になって、お遊びのギャグが減り、ドラマとしての完成度が高くなった。プリンゴン人同士の会話はプリンゴン語になっており、フィンランド語の字幕を表示するという凝りようである。

さらに新レギュラーのインフォとドワーフによって、各キャラクターの役割や個性が明確になった。その一例が、「プリンゴンの戦士はシャワーを浴びない!」という決めセリフだ。パロディというより、このままでもスタートレックのエピソードとして十分通用する内容である。なお、悪役キャラのハンス・デュオは『スター・ウォーズ』のハン・ソロを連想させる。

スターレック4
▲ブリッジ

スターレック4
▲ハンス・デュオ

スターレック4
▲キックスタート2号

スターレック4
▲ドワーフとインフォ

スターレック4
▲パーク


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■「スターレック4 1/2: Weak Performance」(20分)2000年

製作: アッテ・ヨウツェン
監督: アッテ・ヨウツェン
脚本: アッテ・ヨウツェン、サムリ・トルソネン

スターレック4 1/2
▲タイトル

【あらすじ】
パーク船長(サムリ・トルソネン)は、ブリッジを下士官に任せて、ハルデッキで遊んでいる。それは西部劇のような世界で、パークは拳銃やロープで暴漢と対決するのだ。

一方、指揮を任されたドイツ人のキニスマット(アッテ・ヨウツェン)は、突然現れて攻撃をしてきたロミュクランのウォー・ターキーと激しい撃ち合いを始める。

【解説】
エンディング・クレジットに、「この映画は単なるジョークです。スターレック・シリーズに何の影響も与えません。」と書かれているように、アッテ・ヨウツェンがお遊びで作った番外編。

「おなら艦隊」らしく、下ネタからスタートして、下ネタで終わる。しかし、3Dグラフィックは非常に美しく、製作技術が向上していることが分かる。

なお、サムリの説明によれば、この時点でパークは提督から船長に降格されている。

スターレック4 1/2
▲キックスタート2号

スターレック4 1/2
▲ウォー・ターキー

スターレック4 1/2
▲キニスマット

スターレック4 1/2
▲パーク


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■「スターレック5: Lost Contact」(43分)1997年

製作: サムリ・トルソネン
監督: ルディ・アイリスト
脚本: ルディ・アイリスト、サムリ・トルソネン

スターレック5
▲タイトル

【あらすじ】
機械生命体コーグの侵略が始まった!
コーグ・キューブの攻撃から地球を守るために、キックスタート2号は地球に呼び戻された。
P艦隊は総力でコーグの攻撃を阻止しようとするが、P艦隊の艦船はコーグ・キューブによって次々と破壊されていく。

パーク(サムリ・トルソネン)は、キューブの特定箇所を狙って総攻撃を仕掛けるが、敵にダメージを与えることは出来ない。インフォ(アンティ・サタマ)は、コーグ・キューブにコンピュータ・ウィルスを感染させて、機能を麻痺させることを提案。みずからキューブに入り込んで「マイクロソフト・ウィンドウズ95」をインストールした。

キューブの機能が低下した瞬間、キックスタート2号はそれを破壊。コーグの侵略を阻止したかに見えたが、破壊される直前にコーグ・スフィアが地球に落下した。
スフィアは途中で消え、その瞬間、地球はコーグの星に変わっていた。コーグ・スフィアはタイムスリップして、過去の地球に落ちて行ったのだ。そして地球は過去の時点でコーグに征服されたのである。パークたちは歴史を戻すために、過去の地球へタイムスリップした。

コーグ・スフィアがタイムスリップしたのは1999年4月3日。場所は「ウッドストック99」のコンサート会場。
ロックスターのジェフリー・コクブレーン(ルディ・アイリスト)の目の前でコーグの侵略が始まった。

コクブレーンは、ロックバンド「デスデストロ」のギタリストだが、彼のギター・サウンドが地球の近くを通りかかったヴァルガー調査船の関心を引き、地球人とヴァルガー人のファースト・コンタクトが実現したという歴史的な事実がある。そう、コーグは、地球とヴァルガーのファースト・コンタクトを阻止するために、この時代にタイムスリップしたのだ!

パークたちは地球に上陸して、コクブレーンとともに、コーグとの戦いを始めた。
そして、地元テレビ局の機器を利用してインフォが高出力のギターアンプを作り、コクブレーンは大音量でギターを演奏した。地球の近くを航行中のヴァルガー船がそれに気づき、ついに地球とヴァルガーのファースト・コンタクトが実現した。
歴史は元に戻ったが、コーグとの戦いは終わっていなかった。作戦に失敗したコーグ・クイーンは軌道上のキックスタート2号を乗っ取り、乗員をコーグに同化していたのだ。

このままではコーグにキックスタート2号を利用されてしまう。パークは船に設置してあるリモート自爆装置を起動してキックスタート2号を破壊した。パーク、インフォ、ドワーフ(ティモ・ウォレンソラ)は1999年の地球でひっそりと暮らすしかない。彼らの時代は369年も未来で、もうそこへは戻れないのだ。(「スターレック6」へ続く)

【解説】
スターレック5は、コーグ・キューブとキックスタート2号の壮絶な戦いから始まり、思わず目が釘付けになる。さらに、パークたちが(アニメーションではなく)実写で登場することによって、本物の迫力で見る者をぐいぐいと引きつける。

わずか1年で製作されたとは信じられないほど、よく出来た作品だ。この後、7年の歳月をかけて「スターレック6」が作られることになる。

なお、この作品で、パークの時代設定が2369年頃ということが分かるが、スタートレックの世界ではネクスト・ジェネレーション(TNG)の第6シーズン、ディープ・スペース・ナイン(DS9)の第1シーズンに相当する。またパーク自身が、「ジェームズ・B・パーク」と名乗るシーンがある。

スターレック5
▲コーグ・キューブとキックスタート2号

スターレック5
▲パーク

スターレック5
▲コーグ・スフィアが地球に落下

スターレック5
▲コクブレーン

スターレック5
▲ファースト・コンタクト

・・・この続きが、「スターレック6」すなわち「スターレック 皇帝の侵略」である。
映像のクオリティは隔世の感があるが、ストーリーはちゃんと続いていることがお分かりいただけるはずだ。


 (Posted 2007/09/29 15:45)

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